5-1. 𛀁𛀀の技術情報
Unicode 6.0.0より使用可能となった次の仮名2文字にまつわる情報をまとめた頁です。
- 𛀁𛀁: U+1B001; HIRAGANA LETTER ARCHAIC YE(ヤ行のエを表した「江」に由来する平仮名。「エ」のひらがな版)
- 𛀀𛀀: U+1B000; KATAKANA LETTER ARCHAIC E(あ行のえを表した「衣」に由来する片仮名。「え」のカタカナ版)
技術情報
- 𛀁𛀁
- Unicode: U+1B001; HIRAGANA LETTER ARCHAIC YE
- UTF-8: f0 9b 80 81 (11110000 10011011 10000000 10000001)
- UTF-16: d82c dc01 (11011000 00101100 11011100 00000001)
- 文字参照16進数: 𛀁(𛀁)
- 文字参照10進数: 𛀁(𛀁)
- Universal character name: \U0001B001 (\U0001b001)
- Block: Kana Supplement (1B000..1B0FF)
- Age: Unicode 6.0.0-
- ソートした時の位置: Unicode 9.0.0までは「ゆ」と「よ」との間でしたが、Unicode 10.0.0以降は「ん」の後に移されてしまっています(江の変体仮名と統合されたことによる副作用)。
- 𛀀𛀀
- Unicode: U+1B000; KATAKANA LETTER ARCHAIC E
- UTF-8: f0 9b 80 80 (11110000 10011011 10000000 10000000)
- UTF-16: d82c dc00 (11011000 00101100 11011100 00000000)
- 文字参照16進数: 𛀀(𛀀)
- 文字参照10進数: 𛀀(𛀀)
- Universal character name: \U0001B000 (\U0001b000)
- Block: Kana Supplement (1B000..1B0FF)
- Age: Unicode 6.0.0-
- ソートした時の位置: 「え・エ」の前。
Unicode/10646の例示グリフ
UnicodeおよびISO/IEC-10646のコードチャートで使われている例示グリフは、カタカナ・ひらがなともに10646側の事情でおかしな状態のまま固定されていますのでご注意ください。Unicode 6.2~9.0までの "East Asian Scripts" のFigure 12.9(下図。Version 7以降はFigure 18.9)などで使われているグリフは、U+3040~U+30FFのコードチャートで使われているグリフ(恐らくMS 明朝)ともデザインがそこそこ合いますので、参考や引用にはこちらをお勧めします。
残念ながらUnicode 10.0以降は、10646のチャートと同じ歪んだグリフがこの表でも使われるようになってしまいました。
活字例
U+1B000のほうは「フ」の上に「ヽ」という比較的単純な図形ですが、U+1B001のほうは少し字の骨格が摑みにくいようなところがあります。そこでフォント作りをなさる方向けに、当方で参考にしたこの字の活字例を載せておきます。
- 明朝:
- ゴチ:
出典はともに錦明朝かなの参考文献として記載されている見本帳です。
OS添付フォント
2022年2月末現在、Windows 10 Technical Preview以降の游ゴシックに𛀁と𛀀とが含まれていることを確認済みです。
- Windows 10 Technical Preview 2015年3月版 (Build 10041) 附属の游ゴシック(Light, Regular, Boldはversion 1.58、Mediumはversion 0.98)
さらにはWindows 8 Developer Preview以降のメイリオにも𛀁と𛀀とが含まれています。
- Windows 8 Developer Preview(米国時刻2011年9月13日リリース)付属のメイリオ (version 6.06, 2011/7/13 8:20:39)
- Windows 8 Consumer Preview(米国時刻2012年2月29日リリース)付属のメイリオ (version 6.09, 2012/1/25 7:33:25)
- Windows 8 Release Preview(米国時刻2012年5月31日リリース)付属のメイリオ (version 6.11, 2012/4/21 11:31:30)
一方明朝体フォント(游明朝・MS明朝など)は2022年2月末現在、残念ながらU+1B000にもU+1B001にも対応していません。
この件に関しましてMicrosoftへの要望が提出されていますので、よろしければ賛成票を投じていただけますと幸いです。
- Windowsチームへの要望:
Windows 10/11に付属しているフィードバック Hubに「明朝体フォントでもU+1B000, U+1B001に対応してほしい」という要望があります(同英語版)。
このリンクをクリックしてもアクセスできない場合は、以下の手順をお試しください。
- フィードバックHubを起動する。
- Microsoftアカウントでサインインする。
- a. 左のメニューから「フィードバック」を選んで検索窓に1b000と入力する、または
b. 前記リンクをクリックする。
- OfficeのWordチームへの要望:
こちらからアクセスできます。左方にあります⇧を押すと投票できます。投票には同じくMicrosoftアカウントが必要です。
※2024/09/08追記:2024年7月頃まではアクセスできたのですが、8月中のどこかでアクセスできなくなったようです。Microsoftが削除したのか、一定の日数が経過したら自動的に消える仕組みなのか、何らかのアクシデントが発生したのか、理由は一切不明です。上のフィードバックHubのほうの要望はまだあります。
謝辞
𛀁𛀀2文字がUnicodeに符号化される過程におきしましては、Rick McGowan氏(ご本人は日本滞在時には「マクガワン」とカナ表記されていたとのことです。発音時にはガに強調ともうかがっています)の格別のご厚意があったことをここに記し、改めて御礼申し上げます。