アクセントを表すのによく使われる方法を、まとめてご紹介いたします。
なお、以下の表中で時折出てくる「アクセントの核(または単に『核』)」というのは、「直後に音程の下がり目を持つ拍」のことを指すアクセント用語です。例えば「低-高-低」型なら、「2拍目に(アクセントの)核がある」という言い方をします。
方式 | 例 | 概要・特徴 | このアクセント表記が用いられている主な書物 |
---|---|---|---|
丸式 |
あたま/●●○ 鯨/○●○ 桜/●●● |
高く発音する拍を●で、低く発音する拍を○で表記する方式。下降調の拍はで、上昇調の拍はで表す。 |
『日本国語大辞典』 手書き原稿が主流であった頃のアクセント研究書。 |
HL式 |
頭 HHL 鯨 LHL 桜 HHH |
高く発音する拍をH (high) で、低く発音する拍をL (low) で表記する方式。下降調の拍はF (fall?/falling?) で、上昇調の拍はR (rise?/rising?) で表されることが多い。 |
『日本語アクセント史総合資料』 |
線式 |
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高く発音する拍の上に線を引いて表す方式。低く発音する拍に対しては、何も線を引かない方法と、文字の下に線を引く方法とがある。 |
たいていのアクセント辞典。 |
数字式A | あたま[2] 鯨(2) 桜[0] |
語頭から数えて、何拍目の後ろで音程が下がるか(このような「すぐ後ろに下がり目を持つ拍」のことを「核」という)を数字で表す方式。無核の単語は0と表記する。 |
『日本国語大辞典』 (小学館) |
数字式B | あたま H2 鯨 L2 桜 H0 |
基本的には上の「数字式A」に同じ。ただ□や○で囲うかわりに、"H"(高く始まる)や"L"(低く始まる)を数値の前につけるという点が異なる。 |
中井幸比古氏のアクセント辞典。 |
数字式C | あたま 3 鯨 1; 3 桜 0 |
こちらはアクセントの核ではなく、音程が低くなりはじめる拍を、数字で表す方式。 |
『全国アクセント辞典』 (東京堂出版) |
強調式 | あたま くじら さくら |
高く発音する拍を、太い文字で表記する方式。 |
『角川新国語辞典』 |
文字式 | 頭[タ] 鯨[ジ] 桜[平] |
数字式Aと考え方は同じだが、こちらはアクセントの核となる拍の文字を、直接表記する。 |
『日本国語大辞典』 『集英社国語辞典』 |