5-C3. さらら明朝
さらら明朝
「さらら明朝」は、「霧明朝」の仮名文字だけを築地体後期五号系のオールド仮名グリフに置き換えたフォントです(「霧明朝オールド」に相当)。
さらら明朝の仕様
- フォントの形式:CID-keyed OpenType/CFF形式。ROSはAdobe-Identity-0。CID+0からCID+23059まではAdobe-Japan1-7準拠、CID+23060~23290は他フォントと共通。
- GSUB, CMap, IVSデータはAdobe-Japan1-7用の定義を独自に拡張したものを使用。
- GPOSデータは源ノ明朝由来のグリフについてはそちらから、Source Serif 4由来のグリフについてはそちらから継承。
CMapやGSUBなどは霧明朝のものを継承せず、錦源明朝用のものを使用しています。
Download
Regular←→Bold間はスタイルリンクによって結びつけられています。そのためRegular, Boldが両方ともインストールされている場合には、アプリケーションによってはフォント選択肢の中に「さらら明朝 Bold」が表示されないことがあります。このようなソフトでは、さらら明朝を選択した状態で「太字/Bold」機能をオンにするとさらら明朝 Boldに切り替わります。
※2025/1/31追記:イタリック版は公開を終了しました。
さらら明朝の改訂履歴
- 3.000 (20230523): 仮名フォントを錦明朝かな 4.000相当に更新。主な変更点は次の通りです。
- 「ま」のグリフを築地体後期五号由来の「1画目が2画目より短い形」に変更(初期の錦明朝かなの状態に戻しました)。
- 「ふ」「𛀁」の1画目の点を、時計回りから反時計回りに変更。
- 「ヲ」を石井明朝OKLやA1明朝風の「1画目と3画目が離れていて、かつ2画目が3画目を貫いている形(ニ+ノ)」に変更。
- 仮名文字の骨格を全体的に見直したことに伴い、U+32D0以降の丸囲みカタカナ、U+3300以降のカタカナの組文字も更新。
- 小さい「こ」「コ」がUnicode 15で符号化されたことを受けてCMapを更新。
この他、variation sequences定義ファイルを2022/9/14版に更新しました。
- 2.002 (20220214): ヴァージョン2.000以降、U+2015を複数並べた時に線が途切れてしまうようになっていましたが、再び繋がるようにしました。
- 2.001 (20220207): GPOSテーブルの一部に誤ったデータが混入していた問題を修正。
- 2.000 (20220204):
- 仮名以外のベースフォントを霧明朝 4に更新。
- ‼ (U+203C), ⁇ (U+2047), ⁈ (U+2048), ⁉ (U+2049) が縦書き時に左へ寄ってしまうという不具合報告をいただきましたので修正しました。
グリフが全角幅になっていなかったことが原因です。ご報告感謝します。
- SemiBoldの仮名の太さを調整。
源ノ明朝のvariable font版用リソースが公開されたことにより、各ウェイトの正確なweight値が判明しましたので、さらら1.000作成中に独自に割り出した値と「答え合わせ」をしてみましたところ、SemiBoldだけ1%ほど違っていましたので調整しました。
- 特定のvariation sequenceを使うと字が消えてしまっていた問題を修正。
注󠄂 (6CE8 E0102)、0︀ (FF10 FE00) の2シークウェンスで起こっていました。
- 1.003 (20210830):
- ギリシャ文字・キリル文字用のkerningデータを追加。palt有効時のみ反映されます。
- 仮名グリフのアウトライン調整(錦明朝かな 3.004に加えた変更の反映)。
- 1.002 (20210830): カタカナを中心にアウトラインの微調整(錦明朝かな 3.003に加えた変更の反映)。
- 1.000, 1.001 (20210828): 最初のリリース。
霧明朝・錦源明朝との違い
表にすると次の通りです。
霧・さらら・錦源の違い
|
霧明朝 |
さらら |
錦源明朝 |
| 仮名 |
源ノ明朝に追加・改変 |
独自(錦明朝かな) |
| 半角カタカナ |
源ノ明朝 |
カナを含む記号 (㋐㍗など) |
| 漢字 |
源ノ明朝 |
| 欧文 |
Source Serif 4を増補したもの |
独自* |
| 記号・約物 |
源ノ明朝 |
| ウェイト数 |
3 + variable |
5 |
1 |
| GSUB, CMap |
源ノ明朝のものを拡張 |
Adobe-Japan1-7用のものを拡張
|
当初は錦明朝を多ウェイト化することにより、その派生フォントである錦源明朝をも多ウェイト化するという計画でした。
その第一弾である「仮名グリフの多ウェイト化」は2020年の終わり頃から手を付け始めて2021年春に作業が完了したのですが、続けて「欧文グリフ(上表で*の付いているところ)の多ウェイト化」に移行した辺りから作業時間が思うように確保できなくなってきてしまいました。
せっかく出来上がった多ウェイトの仮名グリフをお披露目する機会がないまま時間だけが過ぎて行くというのも勿体ない気がしましたもので、差し当たって不足しているグリフは霧明朝から持ってきて組み上げることにしたのがさららです。
このような経緯のため、さららはCMapやGSUBなどは源ノ明朝系のものではなく、錦源と同じくAdobe-Japan1系のものを使用しています。