近世後期以降、京都・大阪など近畿中央部では3拍以上の形容詞でアクセントの混同が進み、今日では形容詞のアクセント体系そのものが、東京アクセントなどに比べて著しく単純化されてしまっています。
京都アクセント | 東京アクセント (参考) |
所属する語彙 | |||
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現代京都 | 近世京都 (京阪式規範) |
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2拍 | ●○ | ●○ | ●○ | 濃い・酸い等 | |
○● | ○● | 無い・良い | |||
3拍 | 1類 | ●○○ | ●●○ | ○●● | 赤い・厚い・甘い・遅い等 |
2類 | ●○○ | ○●○ | 青い・暑い・黒い・高い等 | ||
4拍 | 1類 | ●●○○ | ●●●○ | ○●●● | 怪しい・卑しい・悲しい等 |
2類 | ●●○○ | ○●●○ | 嬉しい・楽しい・苦しい等 | ||
3類 | ○●●○ | ○●●○ | (対応関係なし) | 美味しい・しんどい等 |
3拍以上の1類形容詞と2類形容詞とに関しては、近世京都アクセントと東京アクセントとの間には「1拍ずれ」の法則が存在していたことが見て取れます。
しかし現代京都では、3拍以上の高起式形容詞の終止・連体形はすべてH-3型(高起かつアクセント核の位置が後ろから3拍目)にアクセントが統一されていて、もはやかつてのように、京都アクセントから東京アクセントを導き出すことができなくなっています。
なお上表では便宜上「3類」という呼び方を用いていますが、これは充分に確立された用語ではありません。研究者によっては別の音調型を「3類」と呼んでいることもあります。
形容詞のアクセントは、終止・連体形の(活用語尾が「‐い」で終わる)場合と、それ以外の時とで語幹部分のアクセントが交代します。
詳細は次のページ・「8-表.形容詞の活用形アクセント一覧」にて示します。