1-6. 副詞

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1-6-1 副詞

 副詞とは、動詞や形容詞などを修飾する言葉のことを指します。副詞の場合、形容詞や動詞のように語尾が変化(活用)したりするようなこともありませんので、文法面では取り立てて解説することもありません。
 ただ副詞の用法の中で、こと強調表現には、京ことばの特色が強くにじみ出ているものがいくつかありますので、ここではそのようなものについて紹介いたします。

1-6-1-1 強調表現

(1)「ものすごう/●●●○○」「ものすご/●●●○」

「ものすご」は「ものすごう」が約まったものです。どちらも京都の強調表現としてはもっとも普通のものです。

(2)「えらい/●○○・えろう/○●○」

「えらいことや」「えろう(えらい)楽しい」などと用いて、それぞれ「大変なことだ」「すごく楽しい」という意味をあらわします。

 動詞や形容詞を修飾する時は連用形のウ音便形「えろう」を使い、「えろう何々する」と言うのが本来の形ですが、日常会話では「えらい何々する」というふうに終止・連体形「えらい」をそのまま使った言い方が多用されます(文法上はおかしい)。
 そのため文によっては「えら面白」のように、形容詞の終止・連体形が2つ連続する形になってしまうこともあります。

(3)同じ言葉を重ねるという方法

 同じ言葉を重ねることによる強調表現もよく使われます。

例:

「今日はすごく寒いなあ」→「今日は寒い寒いなあ」
「とても痛い」→「痛い痛い」
「とてもよく見える」→「よう見える見える」
「あの服がものすごくほしい」→「あの服、ほしいほしいわあ」

 またこの手の表現は、「あの時言うてはったんは、ここのことどしたどすか」のように、丁寧さを強調する場合にも使われます。

強調の副詞にまつわる備考

 1980年代のなかば頃から「滅茶苦茶」の短縮形「めっちゃ」という言い方を使った強調表現が大阪発のテレビなどから聞かれるようになり、さらには少し遅れて1990年代に入ったあたりから「無茶苦茶」の短縮形「むっちゃ」も同じくマスメディアなどからぽつぽつ聞かれるようになりました。
 これらは関西共通の新方言の一種で、京の伝統方言とはまた別のものです。


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