方言を特徴づける要素にはいくつかありますが、「語彙・語法(言い回し)・発音」の3点は特に重要なものとしてあげられます。中でも京都言葉の場合、他地方の方にもっとも強い印象を与えるのが「発音」、それも「アクセント」ではないでしょうか。
日本語のアクセント体系には大きく分けて、「京阪式アクセント」「東京式アクセント」「特殊式アクセント」「一型(崩壊)アクセント」の4種類があります。
このうち京都に分布するのは「京阪式アクセント」の一種で、その分布域はだいたい下図*1のようになっています。
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青 | 京阪式アクセントI: もっとも保守的。 |
空色 | 京阪式アクセントII: アクセントの型区別が一部失われている。 |
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水色 | 京阪式アクセントIII: IIよりアクセントの型がさらに少ないものや、東京式アクセントに変化しかかっているもの。便宜上の総称なので実態はIやIIほど一様ではない。*2 |
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萌葱 | 京阪式アクセントIV: 京阪式本流から枝分かれした時期が早かったため違いが著しいもの。讃岐式・真鍋島式等。 |
この図から、
ことなどが分かります。
最後に、京阪式アクセント同士の比較表を載せておきますので、よろしければごらんください。
アクセント記号の見方
○=低く発音 ●=高く発音 ◐=●から○へと音程を下げながら発音
例・「鯨/○●○」=[くじら] 「命/●○○」=[いのち] 「春/○◐」=[はるぅ]
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大阪型 | 京都型 | 和歌山 田辺型 | 高知型 徳島型 | 近世京都型 (規範型) | (参考) 東京式 | |||
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名 詞 |
第1類 「風/水」類 |
●● | ○●(‐●) | |||||
第2類 「音/雪」類 |
●○ | ○●(‐○) | ||||||
第3類 「花/月」類 | ||||||||
第4類 「海/空」類 |
○● | ●○ | ||||||
第5類 「雨/露」類 |
○◐~ ○●(‐○) |
○◐ | ||||||
動 詞 |
第 1 類 |
5段 「言う/置く」類 |
●● | ○● | ||||
1段・サ変 「寝る/する」類 | ||||||||
第 2 類 |
5段 「書く/読む」類 |
○● | ●○ | |||||
1段・カ変 「見る/来る」類 | ||||||||
形 容 詞 |
「濃い」類 | ●○ | ●○ | |||||
「良い」類 | ○● | |||||||
大阪型 | 京都型 | 和歌山 田辺型 | 高知型 徳島型 | 近世京都型 (規範型) | (参考) 東京式 |
京都型 | 大阪型 | 徳島型 | 和歌山 田辺型 | 高知型 | 近世 京都型 (規範型) | (参考) 東京式 | |||
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名 詞 |
第1類 「氷/柳」類 |
●●● | ○●●(‐●) | ||||||
第6類 「兎/烏」類 |
○○● | ○●● | |||||||
第7類 「苺/鯨」類 |
○●○ | ||||||||
第2類 「小豆」類 |
●○○ | ●●○ ~ ●○○ |
●●○ | ○●●(‐○) | |||||
第4類 「表/言葉」類 | |||||||||
第3類 「鮑/山葵」類 |
●○○ | ●○○ | |||||||
第5類 「朝日/命」類 | |||||||||
動 詞 |
第 1 類 |
5段 「上がる/歌う」類 |
●●● | ●●● | ○●● | ||||
1段 「上げる/染める」類 | |||||||||
第 2 類 |
5段 「下がる/泳ぐ」類 |
●○○ | ●○○ | ○●○ | |||||
1段 「下げる/起きる」類 |
○○● | ||||||||
形 容 詞 |
第1類 「赤い/遅い」類 |
●○○ | ●●○ ~ ●○○ |
●●○ | ○●● | ||||
第2類 「白い/高い」類 |
●○○ | ○●○ | |||||||
京都型 | 大阪型 | 徳島型 | 和歌山 田辺型 | 高知型 | 近世 京都型 (規範型) | (参考) 東京式 |